去年の11月、ボクらは韓国に引っ越してきました。新しい生活のスタート。スーツケースを抱えて部屋に入って、まずやったことといえば…そう、暖房のスイッチオン。
韓国の住宅は、アパートの部屋でもほぼ100%といっていいほど床暖房(オンドル)が標準装備。冬はマイナス10度にもなるソウルの寒さを考えたら、納得です。
床暖房のリモコンを探して、スイッチを入れようとしたそのとき——。
「ん?このロゴ、見たことあるぞ…」
Rinnai
リンナイ!?

なぜここにリンナイ?
日本で「リンナイ」といえば、ガスコンロ、給湯器、湯沸かし器のメーカーってイメージじゃないですか?まさか韓国でその名前を目にするとは思ってなかったので、正直ちょっとテンション上がりました。
うちの床暖房は、ガスで温めた液を床下に循環させる仕組み。そのシステムの心臓部分、つまり給湯と循環を制御する装置一式がリンナイ製だったわけです。
調べてみたら…リンナイは韓国でかなりメジャーらしい
それ以来、外に出ても「Rinnai」のロゴがやたらと目に入るようになってきました。飲食店の厨房、アパートの管理室、そして大型家電量販店。
ある日、電気屋さんで見かけたのがリンナイの空気清浄機。え、リンナイってそんなのも作ってたの!?

「リンナイ」ってどんな会社?
実はボク自身、リンナイって名前は聞いたことあるけど、正直あまり意識したことがなかったんです。調べてみたら、かなり面白い会社でした。
創業は1920年。なんと100年以上の歴史がある老舗企業。
名前の由来
社名のリンナイの英語表記は Rinnai で “n” が2つあるのがポイント。「Rinai」ではなく「Rinnai」なので、海外で書くときに間違えやすいんですが、実はこのスペルは日本語の「林内(りんない)」をローマ字っぽくしたものなんです。
リンナイって、実は創業者2人の名前を合わせた造語のようです。「リンナイ」は、創業者である林兼道(はやしかねみち)さんの「林(Rin)」と、内藤秀次郎(ないとうひでじろう)さんの「内(Nai)」を合わせた造語だそうです。
歴史と海外展開について
この林さんと内藤さんが、1920年に名古屋で「林内商会」を創設し、加圧式石油コンロを製造・販売したのが今の「リンナイ」の始まり。
早くも1923年にはガスレンジ、ガスコンロ、ガスオーブン、ガス給湯器販売、輸出を開始。
過去には航空機の部品も制作していたことがあり、1940年に「林内航空製作所」と社名が変わり、1950年には「株式会社林内製作所」に、そして1971年に現在の「リンナイ株式会社」となりました。
1970年に台湾に進出したのを皮切りに、順にオーストラリア、マレーシア、韓国、アメリカ、ニュージーランド、イギリス、インドネシア、タイ、シンガポール、中国・上海、中国・香港、ベトナム、イタリア、カナダ、メキシコに展開。
もともとは名古屋の町工場から始まった小さな会社が、いまや世界中でガス機器を展開するグローバル企業にまで成長。給湯器やガスコンロはもちろん、最近は衣類乾燥機、床暖房、さらには空気清浄機まで幅広い製品を展開しています。
韓国では「국민 브랜드(国民的ブランド)」?
そんなリンナイですが、実は韓国ではかなり前から親しまれているブランドなんです。
リンナイが韓国に進出したのは1974年。つまりもう50年近く韓国市場に根付いていることになります。
韓国法人である「린나이코리아(Rinnai Korea)」は、韓国の住宅事情や文化に合わせた独自製品も多数展開。たとえば:
- オンドル式床暖房システム
- ガス式瞬間湯沸かし器
- ビルトインガスコンロ
- 空気清浄機やオーブン、衣類乾燥機など生活家電全般
韓国の家庭で「リンナイ」を知らない人はほぼいない、というレベルらしく、
韓国メディアでもよく「安心できるブランド」「暮らしの一部」みたいに紹介されています。
韓国では「린나이(リンナイ)」っていう響きが自然で、まったく違和感なく生活に溶け込んでる感じです。リンナイが日本企業だとは知らない韓国の人も多いようです。


海外で浸透している「日本ブランド」
正直、日本にいたときは自分の家の給湯器がどこのメーカーなのか、気にしたことすらなかったボク。でも、海外に来て「Rinnai」のロゴを見ると、なんだかちょっとした再会みたいな気分になります。
しかも、「日本製だから安心」とかいう理由じゃなくて、現地でちゃんと受け入れられて、当たり前に使われているってことにちょっと感動すら覚えます。
日本では気づかない日本企業の顔
今回の件で、ふと思いました。日本では当たり前すぎて気にしていなかった企業が、海外ではしっかり存在感を放ってるってこと、けっこうあるんじゃないかと。
もし韓国に来ることがあったら、ぜひ街中で「Rinnai」のロゴを探してみてください。もしかしたら、ボクみたいに「おっ、ここにも!」ってなるかもしれません。
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韓国のリンナイ(韓国語)
日本のリンナイ