日本と大きく違う韓国の習慣の一つが年齢の数え方。
日本では、一般的にアメリカなどと同じように「満年齢」(만 나이 マンナイ)で年齢を数えます。つまり、生まれた時は0歳で、誕生日が来るごとに1歳ずつ加算されていく方式ですね。でも、韓国では長い間、「数え年」(세는 나이 セヌンナイ)が使われてきました。
この年齢の数え方の違いを理解することは韓国で生活したり、韓国の人と付き合うのにとても大事なことなんです!
この記事では「満年齢」と「数え年」の違い、なぜ歳の違いを知ることが大事なのか、年齢を尋ね方などを詳しく解説します。
「数え年」ってなに?
数え年では、生まれた瞬間からすでに1歳。さらに、年が明けて1月1日になると、全員一斉に1つ歳を取るという仕組みです。
この習慣によると、例えばある年の12月31日に生まれた子どもは、次の日の1月1日には2歳になってしまうという面白い事が起きます。生まれた年が一歳で、1月1日には歳を一つとるので。
えっ、まだ生後2日目なのに!?と思わず突っ込みたくなるほど、ちょっと不思議なルールですよね(笑)
ただ実際には、そんな新生児の年齢を聞かれて「2歳です」と答える人はまずいません。ふつうは「何ヶ月です」と答えるので、実生活ではそこまで極端なギャップは感じにくいです。
日本では正式な文書では満年齢で書くようにわざわざ指示がある場合がありますよね。(「満_歳」のように。)これは昔、日本でも同じような習慣があったからです。でも、日本では1902年と1950年に公的、一般的に満年齢を使うことが法律で定められました。
それで今、数え年を日常的に使うのは韓国だけなのだとか。
ちなみに誕生日のお祝いは日本と同じく生まれた日に祝うのが普通なようです。ケーキを囲んだり、プレゼントを渡したりといった文化もほとんど同じ。年齢の数え方が違っても、そこは一緒です。
数え年クイズ!こんな場合は韓国では何歳?
A:2000年の10月1日に生まれた人は2021年6月9日には?
B:1990年3月1日に生まれた人は2021年6月9日には?
答えは写真の下に

Aの答え:22歳(日本では20歳)
Bの答え:32歳(日本では31歳)
そう、こっちでは会話で自分の歳を聞かれると、日本よりも1つか2つ上に答えなければいけないんです。。。(涙)
実は3つあった!3つ目の年齢の数え方
ややこしいことに、韓国ではさらにもう一つ歳の数え方があります。
それが「年年齢」(연 나이 ヨンナイ) 。現在の年度から生まれた年度を引いた数え方です。
数え年との違いは、年年齢の始まりは0ということ。1月1日に歳をとるという点では同じです。数え年と同じで生まれた日ではなく生まれた年で年齢を数えます。
ただ、うちの奥さんはこの歳の数え方について知りませんでした。あまり一般的な数え方ではないようです。「年年齢」は兵役や青少年保護法など一部の法律で限定的に用いられています。お酒やたばこを買える年齢は「年年齢」で定められています。
また、韓国でもあまり知られていませんが、韓国で記事やメディア、放送ではこの「年年齢」を使うことがあるのだとか。この数え方だとある人の正確な誕生日まで調べる必要はないので便利だからだそうです。満年齢との違いも少ないので。
3つの違いをまとめるとこんな感じ。↓
呼び方 | 生まれた時 | 年齢加算のタイミング | 特徴 |
---|---|---|---|
数え年 (세는 나이) | 1歳 | 毎年1月1日 | 最も伝統的、口語でよく使われる |
満年齢 (만 나이) | 0歳 | 誕生日 | 国際的に標準、公式文書で使用 |
年年齢 (연 나이) | 0歳 | 毎年1月1日 | 一部の法律やメディアで限定的に使われる |
たとえば、1995年3月15日生まれの人が2023年6月時点で何歳かというと:
- 満年齢 → 28歳
- 数え年 → 30歳
- 年年齢 → 29歳
このように、韓国ではどの方式を使うかで1〜2歳の差が出るため、非常に混乱しやすいです。
制度の変更 満年齢に統一!?
このような複数の年齢制度が混在していたことで、社会的にも混乱が起こる場面が少なくありませんでした。そこで韓国政府は2023年、ついに法律を変えました。
📅 2023年6月28日からは、すべての公的な場面で「満年齢」に統一!
病院、学校、保険、行政手続きなどでは、国際基準の満年齢を使うことが義務づけられました。

ただし、日常会話では今も「数え年」を使う人が多く、完全に切り替わったとは言えないのが現状です。日本も完全に変わるのに何十年もかかったみたいですしね。。。
ただ、いずれにしても、韓国では年齢が大切な意味を持つことに変わりはありません。
年齢が人間関係に直結!だからこそ重要
日本を含め、アジアでは人間関係で歳の差を意識する国が多いようです。
でも、日本では特別な理由がない限り、初対面で相手の年齢を聞くことはないですよね?それを失礼だと思う人も多いです。
でも、韓国では歳を聞かれることが多いんです。
韓国では年齢差が非常に重要な意味を持ちます。なぜかというと、年齢によって使う言葉(敬語やタメ口)や人間関係の距離感が大きく変わるからです。
だからこそ、会って間もないころの「何歳?」という質問は単なる雑談ではなく、相手が自分より年上か年下かを知って、正しい言葉遣いをするための重要な質問なんです。もちろん、明らかに年上、年下の人には聞きませんけどね。
1歳の差で変わる言葉遣い
韓国語では、相手が1歳でも年上なら敬語を使い、ある程度親しくなった同い年や年下にはフランクな言葉で話すのが一般的です。
日本と同じように年齢差があっても、お互い同意の上でタメ口で話すようになることはあります。でも、韓国の人と話すときは、基本的には1歳でも年上には敬語を使うというのがマナーだということは覚えておくといいです。そんなに歳の差がないのに、年上だからという理由で会っていきなり年下の相手にタメ口で話すというのも、日本と同じくマナー違反です。

さらに、年齢によって相手をどう呼ぶかが変わるということもあります。
女性なら、1歳でも年上の女性に対しては「언니 オンニ」(お姉さん)、年上の男性には「오빠 オッパ」(お兄さん)と呼びます。男性なら1歳でも年上の女性に対しては「누나 ヌナ」(お姉さん)、男性に対しては「형 ヒョン」(お兄さん)と呼びます。前に名前を付けて「~언니」、「~형」と親しみを込めて呼ぶこともあります。
「友だち」という意味ではない⁉ 韓国語「친구 チング」
日本語でよく「友だち」と訳される韓国語「친구 チング」は、広い意味では「友だち」なんですが、日常では主に同い年の人を指して使われることが多いです。「わたし~歳なんです。」というと、「오, 우리 친구네! オ,ウリ チングネ」(わたしたち、友だち⦅同い年⦆だね!)という会話もよくあるパターン。
ということで、韓国では相手の年齢を聞くのはとても大事なことなんです!
韓国語での年齢の尋ね方
「몇 살이에요? ミョッサリエヨ?」(何歳ですか?)
というダイレクトな聞き方もあります。でもこれは親しい間柄で使われる表現で、聞いてみたら意外に自分よりも年上だったという場合は失礼になりかねません。
「나이가 어떻게 되세요? ナイガ オットケ トェセヨ?」(お歳はいくつになられますか?)
という表現は少し丁寧で目上の人や少し改まった場面でも使われます。
ただ、この2つは相手が答える年齢が「数え年」なのか「満年齢」なのかが分からないので歳の差を正しく確認できないという問題があります。
「몇 년생이에요? ミョンニョンセンイエヨ?」(何年生まれですか?)
この質問の答えは西暦何年に生まれたか。これなら相手が年上か年下かすぐに分かりますよね。そんなに歳の差がなさそうな相手との正確な歳の差を知りたい時はこの質問がベストです!
まとめ:年齢確認に慣れましょう!
韓国の年齢の数え方は、単なる数字の話にとどまらず、文化や人間関係、言葉遣いにまで深く関係する大切な要素です。
年齢を聞いたり、聞かれたりすることに抵抗があると感じる人も多いでしょう。でも、もし韓国に来たり、韓国の人と接する機会があったら、なんとかその習慣に慣れてください!(笑)
韓国の人と交流するときには、「年齢の数え方が違う」という前提を知っておくだけで、相手との距離感を取るのがずっと楽になるはず。覚えておいて損はない韓国文化のひとつです!

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